小分けして歩くサンチャゴ巡礼:「ぶらりあるき サンティアゴ巡礼の旅」安田知子著(3)
著者の安田知子さんは、パリを拠点にしてお仕事をされているようで、こちらにインタビュー記事がありました。この本の後で「パリの老舗」(ピエブックス)という本を書いていらっしゃいますね。
さて、この本を読んでわかるのは、サンチャゴ順礼が非常に多種多様であるということ。一般的には、ピレネー山脈のふもとからサンチャゴまでの800kmを淡々と歩き通すことがサンチャゴ順礼だと思われていますが、実はそうではないようです。
まず、順礼路をいくつかに分割し、例えば毎年の休暇時期に5日間ずつ投入して、10年近くかけて800kmを踏破するというパターンがあるそうです。1回に100kmずつ、8回に分けるといったパターンもあるのでしょうね。
それから、800km全部を歩かなくても、途中の大きなレオンという街から歩き始める人もいれば、最後の100kmだけを歩く人もいるそうです。
サンチャゴには、巡礼者に順礼証明書を発行する事務所があるそうで、そこでは、道々歩いてくる間にアルベルゲ(順礼宿)などで押してもらったハンコにより、徒歩で100km以上歩いたことが証明できれば、コンポステーラという順礼証明書が発行してもらえるそうです。
ということで、800km全部を歩かずに、バスで移動しながら条件を満たす人もいるとのこと。その他、自転車での踏破も認められているそうで、200km以上を走ったことが証明できれば、コンポステーラを発行してもらえるそうです。これだと、実際に自分がサンチャゴ順礼路を歩いてみる際にも、自分に合ったパターンで挑むことが可能になりますね。
もう1つ、この本を読んで、サンチャゴ順礼について漠然と持っていた先入観が吹き飛んだことがあります。日本にいて「サンチャゴ順礼」という言葉を聴くと、どうしてもそこに「求道」のような歩くスタイルを思い浮かべてしまいます。「精神修養」「修行」「苦行」のようなニュアンスをくっつけて考えがちです。
彼女が経験したサンチャゴ順礼はまったくそういうものではなかったようです。タフではあるけれど、楽しい毎日…。順礼路で知り合った仲間と毎晩、食べて飲んで楽しい時間を持つ…。シャワー共用、個室のない大部屋で眠る日々だけれども、仲間意識が生まれ、独特の連帯意識が生まれる…。そんな雰囲気の順礼だったようです。
これは世界各国からサンチャゴ順礼に集まってくる人々のなかに欧州からの巡礼者がやはり多く、彼らの順礼のスタイルがそうだということなのかも知れません。前投稿で書いたワインの飲み方と同じ事情があるようです。
いずれにしても、この本では、安田さんの目を通して、サンチャゴ順礼の現実の姿を知ることができました。
*写真はサンチャゴ・デ・コンポステーラ・カテドラル

